ありがとう 奈緒ちゃん 自立への25年

てんかんと知的障害を併せ持つ奈緒ちゃんは、周囲の心配をよそに、元気に毎日を過ごしている。定年間近の明るく頑固な父、自ら障害者のための地域作業所「ぴぐれっと」を立ち上げた母、その「ぴぐれっと」で中心的な存在として働く弟も、奈緒ちゃんを支え、そして奈緒ちゃんに支えられながら暮らす日々。そんな家族に1つの転機が訪れた。奈緒ちゃんが家を離れ、自立のためにグループホームで暮らそうというのだ…。
　　奈緒ちゃん一家の姿を追ったドキュメンタリーの3作目。障害を持つ奈緒ちゃんが自立していく姿を映し出すと言うと重々しい感じがするが、実際は笑顔とユーモアにあふれた作品だ。スクリーンに描かれるのは、奈緒ちゃん一家の日常。その中では奈緒ちゃんを中心に、家族の笑顔が広がっている。障害者は“支えられる”というイメージが強いが、奈緒ちゃんは支えられるだけでなく、笑顔で家族を“支えている”のだ。そうした関係は多くの家族と同じ。そして奈緒ちゃんの自立にまつわる物語も、多くの家族が体験する「子どもの自立」と同じだ。だからこの作品を観た後はきっと、自分の両親や子どもの姿を心に思い浮かべることになるだろう。